まさかこのゲームやって感想が「シナリオが良い」になるとは。

感想(ネタバレなし)
女装シリーズは山脈、海峡、神社をプレイ済み。特に山脈の印象が強く、ゴリゴリの抜きゲーだったので(今回も抜きゲーだろうなあ)と思いながら始めた。公式サイトにも、「男の娘の雄嬢様たちが姉妹の契りを交わし」とかあるし。やっぱバカゲー兼抜きゲーなのかなと。
いや全然そんなことはなく。お嬢様学園内で繰り広げられる恋愛劇と権力闘争をうまい具合に絡めた、しっかりとしたシナリオがあった。そりゃSwitch版も発売されるわけだ。お嬢様学園内での恋愛*1の王道展開を見せつつも、登場人物たちが「偽りの百合」である男の娘である理由もついている。サブキャラ含めてみんな信念があってかっこいい部分だらけだ。僕は明日香先輩がいちばん好き。なんでシーン無いんですか……?
こうして感想を書いていても、言葉にすることで"良かったところ"が抜け落ちていく気がする。題材が特殊だから難しい点も多いが、マジでみなさんプレイしてほしい。
以降はネタバレ有
感想(ネタバレあり)
話の軸は上記のとおり。ホントプレイ中は「しっかり百合作品やっている!」ってことに感動していた。最初の見どころは伊織が男の娘になったところ。1週間で男の娘になるのだが、ただ女装するだけではなく、仲間たちの協力を得て徐々に主人公が男の娘として仕立て上げられていく。なかなかアツイ展開。CVも入ったことで、あまりの変貌ぶりにヒロインの御影と同じくらい驚いてしまった。なかなかガツンときたね。
御影がヒールであろうとしつつも、どんどん主人公に惹かれていき、とうとうお姉様呼び……っていう場面もかわいかったけど、それでも家を第一優先にする姿勢が変わらない。あっさり恋愛に傾倒することなく、自分が背負う信念との葛藤、本心を偽ってまで伊織を拒絶しなければいけない苦しさ。これが「偽りの百合」ですか……。
信念といえば明日香先輩も同じ。味方にも敵にもなる、トップに君臨する者の気高さと学園の支配欲を隠さない潔さが良かった。主人公の伊織もまたかっこいいんだよな。御影と明日香先輩が信念に忠実な分、それらを打ち返すために主人公がキッチリ強くある。結果として全員かっこよくなる。
ゲームなので、最後は主人公が御影を家の支配から抜け出させて終わり……かと思っていたら、ここでも想定外。一時的とはいえ離れ離れになるところでEND。これは賛否ある展開な気がしつつ、個人的には好み。愛の力でハッピーエンド!っていうのもいいんだけど、遠く離れていてもお互い想いつつ、これから起きる更なる困難に打ち勝とうとするエンディング。これは良いものだ。
ここからは個別の点
とはいっても、あくまでロープライス
Steamで1500円のゲームなので、当然フルプライスのゲームたちと比べたらボリュームはない。シナリオは前述の通りクオリティが高いが、ヒロイン1人モノなので小さくまとまっている。サブキャラたちの掘り下げがやや寂しい。学園百合ものだが、姉妹と呼べる関係は伊織と御影以外にでてこなかったし。*2
公式サイトからパッチを当てることでいろんなシーンが追加されるのだが、やっぱり少数精鋭にとどまる。
いろんなシーンについて
あ~これこれ!女装シリーズはこうだったよな!っていうのが思い出せてよかった。シリーズ独特の語彙力でここには書けないとんでもないセリフが連発される。「専用の○○○○ケースになりゅう!」ってこの系列でしか聞かないもん。*3どのシーンも良かったが、バットエンドのシーンがいちばん実用性あったんじゃないかと。バットエンドだからちょっと悲しいけど。
ちゃんと伊織と御影はかわいい!
信念の強さが~ってことばかり書いてしまったが、伊織への反発心からたびたび挑発するも、伊織のお嬢様力に敗北してどんどん惹かれていってしまう御影や、むしろ姉妹になってから御影をどんどんかわいがるようになる伊織など。ちゃ~んといちゃついているシーンも豊富なのでご安心を。