ATRI -My Dear Moments- 感想

オタク大好きセットのご紹介

atri-mdm.com

おもしろかったですね。久しぶりだよ。ゲームやった後に「ああ……終わってしまった……」ってなったのは。

ブランドのANIPLEX.EXEは「ノベルゲームだからだからこそのおもしろさ」を前面に出しているわけだが、その名に恥じない出来かと。

アニメのキービジュアルにもなっている一枚。CGは多くないけれど、クオリティはめちゃくちゃ高い。

世界観・シナリオ・絵・キャラクター・BGM・声など、古のノベルゲー・エロゲーオタクが「これぼくすきだったやつ!!!」てなるものと確信。

だってやり始めて1時間弱でこんなメモが残っているし。ヒロインのアトリについて。

うわー!!!見た目幼いけどしっかりした口調で話す、でも時折こどもっぽい口調で喋る、
高度な人工知能を持つアンドロイド
(「高性能ですから!」が口癖)
(一部過去の記憶失い済)
(この世界のアンドロイドは家庭に入ることが基本のため、家事全般はできるはずだが壊滅的にできない)
(でも頭はいい)
(意味はないが食事をすることも可能)
だ!!!!!

 

気持ち悪いね。でも、こんな感じで雰囲気やシナリオ背景もオタクの好きな要素をふんだんに詰め込んだ作品となっている。

詰め込み過ぎてパンクしてしまいそうなところだが、物語の基本は「挫折を抱えた主人公がヒロインや仲間と過ごした日々によってふたたび前を向く物語」という基本コンセプトに忠実にいるおかげで、うまく料理されている。

 

というわけでめちゃくちゃおすすめ。安いし。*1ハードにもよるが、だいたい2200円?定期的にDLSiteだと割引セールやっているから要チェックだ。シナリオの長さも十分。

 

2024年にアニメもやるし。こっちはこっちで楽しみだけど、ゲームだからこその面白さは残るはずなので。

 

 

---ここから先はネタバレ有だよ!早く買ってプレイしなさい---

 

 

 

 

 

 

 

 

好きだったところ(ネタバレ有)

潮汐発電・点灯

やや敷居の高い問題に対して、学校のみんなで協力して結果を出す。みんなが自分のできること、得意なことを通じて貢献する。物語だとよくあるものだが、これがまたいいんですよ。潮汐発電っていうのも「一部が海没した学校」という舞台設定を活かしていて良い。こういったちょっとした専門要素を取り入れるのがたまらなく好きなんだ。

学校に備えた発電機では学校の電灯を灯す程度だが、その過程、努力が報われるのをを通じて参加した学生たち、ひいては大人たちまで未来を見据えることができた。この描写が大変良かった。そして、うれしくて泣いている竜司やみなもを見てアトリが首をかしげるのがのちのちここまで響いてくるのか~~~~!と最後唸りましたね。

 

ログ

アトリに告白して、デートしてキスした直後の大どんでん返し。夏生は浮かれて気が付いていない、または気にしていないけどプレイヤーには少しずつ(これは何かおかしいぞ?)というのが伝わってくるのが胃が痛くなった。好き。

ベタベタするアトリ、好きと言ってくれるアトリ。これが全部「学習」の成果だと気が付いてしまった夏生はそりゃ絶望するよ。私も絶望した。

無感情モードに突入したときは「アトリが喜んでたの全部学習の成果だったのか……つらいよ……」てプレイしながらなっていた。あの感情、偽物かと。キュンキュンした自分もまた夏生と同じように悲しくなってしまったよ。

 

ここでの「人間のふりをするな!」と言った時のアトリの悲しい表情がお前には見えなかったのか!?てなったけど、すべて気が付いた主人公が「ロボットのふりをするな!」と言う展開につながったのですべて許した。

 

結局ログにそう書きながらも、アトリはしっかり夏生に恋していたんだよな。ちゃんとあのキスもうれしかったんだよな。単純に心を認識できていなかったからあの時「学習の成果だ」といっただけで、あの時のアトリが感じていた嬉しさや好きは本物だった。それが救いだ。私にとっても。

 

アトリの過去~ノーマルエンドまで

学校占拠事件がおわり、アトリが心の存在を自覚したあと、機能停止までのわずかな時間を夏生やみんなと過ごす。大事件が終わった後の話ってのもおもしろいんですよね。アトリを根本的に救う方法は見つからないってのもいい。お別れ会なんてそんな寂しいのはイヤです!って言えるようになったアトリがたまらなく愛しいね。最初は期限が来たら売ってもらっていいとまで言っていたので。

アトリをそのまま生きながらえさせる方法は見つからない。でも、「幸せを感じていたから悲しくなるんだよ」っていうテーマの一つである「ロボットの心」にも触れた乗り越え方を提示したり、お別れ会をお誕生会にして楽しい思い出にしたり......アトリの行動で元気づけられた町の人たちまでお祝にきたりと、アトリがみんなを幸せにしたからこそ周りに人が集まってくるという構図が良かったですね。

 

アトリは最後、エデンの管理人になって眠りにつく。夏生はひと夏の思い出や仲間を得て再び人類を救うという幼い日の志を胸に歩みだす。これ以上ない最高の終わり方だ。TRUE ENDがあると知ったのはしばらく後。

 

BGM:ごきげん戦闘ロボ

ぼくは音楽とか詳しくないのでアレなのですが。曲の入りから中~終盤までおだやかで優しい風が吹いているようで好き。

 

プレイ時のメモまるまるのせちゃお(ネタバレ有)

雑多すぎる。読む価値なさげだが、せっかくメモしたからにはね。

システムについて

CGの動きがすごい。これが現代か。
言語が日本語・中文(簡体字)/中文(繫体字)・英語。主と副で2つの文章を表示可能。
これは非日本語話者にとってはめちゃくちゃありがたいのでは?
逆に日本語わかると、副文表示は結構目障りなので設定から消した方がいいかも。
2つの文を表示する関係上、文字は小さいしクリック数も多いことは人によってはつらいかも。文字サイズ変更もない。

 

世界観など

今よりずっと進歩し、精巧なアンドロイドがいた世界。
しかし、急激な海面上昇によってその進んだ技術が失われつつあり、緩やかな滅亡の危機に瀕しているっていう
まあありがちだけど受け入れやすい背景だ。

うわー!!!見た目幼いけどしっかりした口調で話す、でも時折こどもっぽい口調で喋る、
高度な人工知能を持つアンドロイド
(「高性能ですから!」が口癖)
(一部過去の記憶失い済)
(この世界のアンドロイドは家庭に入ることが基本のため、家事全般はできるはずだが壊滅的にできない)
(でも頭はいい)
(意味はないが食事をすることも可能)
だ!!!!!
片足を失っている主人公の「足」とまで言ってくれている

 

シナリオ中身のメモ①序盤~中盤まで

最初は借金のカタだ売ろうとなっていたが、接しているうちに売らない!となる。
いっぽう、ロボット側は理由あって45日たてば売ってもらってよいと言い張り、
カレンダーまで用意する。

 

主人公ツンデレ過ぎる。学校には行かないとさんざん言っておいてアトリに駄々をこねられると散歩とか言って学校まで行ってしまう。
足がないせいで、ボートから陸に上がるといった細かいことまでアトリの力を借りている描写がちょろっとだけあるのがいいですね。


学校も行く意味ない嫌だと言っときながら、人の役に立って感謝されると悪い気はしないとか言い出す。
アトリには特に弱い。この世界での最高峰大学に行っていたみたいで、そこでの戦いについていけなくなり失意の底だった主人公がアトリといて、煙たがる態度を取りながらも徐々に前向きになっていく。ボーイミーツガールですかこれが。

 

学校に電気を通そう!という過程が丁寧。結局できても電灯1つ照らせるくらいで町中を明るくできるわけでもない。でも、過程や達成感によって子どもたちの結束や希望が生まれるのが良すぎる。


ちょっとだけ言われていた「初恋の人」がアトリとわかる。わかるや否や主人公が急に照れだすのかわいい。だんだんアトリとのコミュニケーションがいつも通りにならなくなっていく……アトリもアトリで主人公の夏生が男友達の竜司と話すだけで妬き始める。夏生さんはもっと私と一緒に居るべきです!(好きなの?)好きです?(そういうのじゃなくて、恋してるの?)私はロボットなので、そういうのはないです

 

シナリオ中身のメモ②中盤以降

べたべたし始めてしまった……と思った矢先にキッチリカレンダーにバツ印つけるのやめろ。
デート中に不意に「わたしは夏生さんをサポートするロボットです。」みたいなことをいうのをやめろ。
心の話になった瞬間にハイライト消えるのやめろ

アトリとの日々に幸せボケして、
「ボクは地球を救わなくちゃいけないんだ」という目標を忘れてしまった主人公を見て呆けたあと、
「はい、うれしいです!」というアトリ。本心ではなく、学習した結果の言葉でないのか?
→やっぱりキスしても何しても、「少女マンガなどの学習の成果」だったわ……

 

毎日起きるのが遅くなるのが気になる……。ハイライト消えるのやめろ。
告白の時に約束の45日を過ぎても一緒にいてほしいといった。
カレンダーはもういらないはずなのになぜ律儀に毎日×つけるのだ?

 

このゲームは選択肢のない一本道ゲー……ではない~~~~~~~!!!!!!!!唐突に現れるキスするかの選択肢。キスしてよかったのか?????これはアトリに感情を押し付けるだけではないのか??????????????
この先が怖くて読めねえよ……。

 

あ~あ、みちゃったね、「ログ」を。そしてロボットも意図的にウソをつくのか……高性能すぎる。でもさんざん見るなって言われていたログをみたのは夏生さんのほうですが……。
あ~~~、学習した成果と夏生が明確に異なるアクションをすると一瞬フリーズしてハイライトがなくなるんですね。学習した感情シミュレーションと齟齬がある場合の行動だ。

心なんてないが?パートつらすぎる。気分悪くなってきた……。

ヒューマノイドは寿命がある。→作られた時代の人間が、ヒューマノイドに取って代わられることを恐れたため
人間許せねえ……しかも脳だけ停止するらしい。体は使いまわせるため。

 

心なんてないがパート、なんだかんだ言って「今の夏生を嫌い」だと言ったりやっぱりちょっと心あるんじゃね?と思わなくもない。寝言もいうし・・・・・・・。崖から飛び降りようとするし。心がないんか?本当に?
って夏生も思っていたらしい。人は真実を見ない。見たいものだけを見ようとする。

 

無感情モードになっても恋人のままなの強すぎる。無感情モードになって夏生の心が離れたりはしない。

この話って中央でズタボロになって主人公が地方で癒される話ではなく、地方での思い出を胸に再び戦いに赴く話になるのかな?


めちゃくちゃ心あるじゃん。夏生に世界を救ってもらいたがってるじゃん。めちゃくちゃ甘えるじゃん。

 

アトリの最後の命令は、前のマスター、夏生祖母の八千草乃音子の「人類を救う」循環可能巨大フロート都市エデンの×コア○管理人となることだった????
→違った!しかもマスター千草乃音子じゃなかったんかい!「前のマスターに随分ひどいことを言われた」というのはミスリードだった。

記憶をうしなっていく少女って、あの頃のオタク大好きセットじゃん。

 

アトリに悲しき過去。やっぱり昔から心は芽生えていた。芽生えていても「ロボットだから感情がない」と思っていたアトリは心を認識できていなかったんだなって。
あの無感情モードはロボットの「ふり」だったんだ……。

過去パートの演出、はちゃめちゃに良い。ノベルゲームにしかできないことだ。

 

並の話ならロボットが感情を認識して終わりなんだけど、もう一つのテーマであるアトリの機能停止日付が迫っているという問題、「マスターからの最後の命令」、何より世界の未来の話と謎を残しているのが良い。
感情を認識したことで、夏生には変な態度をとるし、過去の出来事を振り返って泣くし、あと数日で機能停止することにも泣くし(物語の当初はつらそうになんてしてなかったのに!)

 

最後に忘れて終わりたくない。すべて忘れる前に機能停止してくれと願うアトリ、そして受け入れる夏生。もうね……。
エデンの中枢となってアトリは眠りにつき、夏生や竜司、みなもらの仲間達は未来に向かって歩き続ける……。

 

BADとTRUE

バットエンド回収(これ最初にやるべきだった。正直胸糞悪くなってしまった。バットエンドだから仕方ないが。)

したらTRUE ENDの文字がタイトルに出現!あれ!?ノーマルエンドだったのか。道理で埋まらないCGがあると。

 

TRUE ENDは60年後。人類存続に多大な貢献をした主人公や仲間のその後が語られる。(エデンを模倣した巨大フロート都市はいくつも完成。宇宙進出も諦めていない。また、主人公はロボットに心を宿す研究にも心血を注いだという話。)
そして主人公最後の1日。電脳空間をたどってアトリに逢い、お互いの「最後の1日」を始めるといった形でエンド。(最後の1日は現実の60年くらいかも?と言われていた。地球を救った夏生が止めたアトリとの時間をやり直すのだ)

 

んー、TRUE ENDは諸手を上げて賞賛できないかも。もちろん、物語に決着をつけるべきというのはわかる。後日談聞きたいもんね。
ただ、ノーマルエンドのほうが私は好きかもしれない。電脳空間でアトリに逢うっていうのもぶっ飛びすぎている気もする。
その足でエデンに行き、その目でまたアトリと会ってほしかった。(エデンの設定上、アトリはエデンと一体となってしまったとあるのでそこが難しいのかも知らん。)

 

ここは好みだと思う。私は物語の途中経過や一連の事件が解決していれば、「俺たちの戦いはこれからだ!」というのはかえって未来があるエンドだと思えるので。中途半端だったりあまり成長しとらんな……で終わるのがダメなだけで。

*1:いや、エロゲが高いんだよなあ。