からかい上手の(元)高木さん

よくできてる

今月3日にからかい上手の(元)高木さんを買った。15巻まで。

今日16巻の発売だったのでそれも。

評判がいいことはあらかじめ承知していた。いや悪かったら15巻とか続かないし。

ちょいちょい良い評判も見かけていたが、それでもちょっと抵抗があった。

やっぱ原作の人物たちを成長させて子どもまでいるってなると「自分の期待した」ものと違うものになっちゃってるんじゃないかなって。

本作は良いほうに裏切ってくれたので問題ないのですが。

スピンオフは結構怖い

スピンオフって難しいと思うんですよね。以下3点くらい求められているのではないかと。

・原作の設定や雰囲気を守ること

・上記に加えて「劣化コピー」にならないように話を展開していくこと

・読む人間は原作ファンが大半なので、原作登場人物にもなにかしらスポットを当てたり原作に絡めた話を入れること

かんたんにできることじゃなさそう。

 

上記3点を本作にあてはめてみる

・原作の設定や雰囲気を守ること

これは非常にうまくできてると思う。西片や(元)高木さんはもちろん大人びていながらも、元の性格から変わったようには見えない。

話を動かす役割は原作の西片→娘であるちーに譲っているが、西片の娘なんだな……と思わせるように話を引っ張っていくので原作と似たような雰囲気になれている。

 

・上記に加えて「劣化コピー」にならないように話を展開していくこと

学校ではなく幼稚園児がいる家庭内での話ということで原作とは違った話の引き出しかたができている。大人になった西片や高木さんも中学生時代とは異なり父母としての側面がでるのも魅力。

 

・読む人間は原作ファンが大半なので、原作登場人物にもなにかしらスポットを当てたり原作に絡めた話を入れること

これは本当にうまい。原作と同じ表題の回で、原作の話を踏まえた話が数え切れないほどある。別に原作の展開を焼き直す……のではなく違う展開に持ち込めている。西片や高木さん以外の同級生たちの大人になった姿もいい。ミナが幼稚園の先生はぴったりだなあと。

他にも2人で富士山に行った時の写真が出てくるなど。原作の「宝くじ」では西片が富士山に行きたい旨発言しているので、(おお、そこを活かしてきたか……)と原作のファンがにやりとできるところではないか。

 

思うところがなくもない

プロポーズ前の今よりちょっと若いころの話があったのはうれしかったが、あまり手を広げられても"自分の思った二人と違う!"となってしまいそうだ。

本作の舞台設定の妙は、もう家庭ができているという"2人の恋が到達点を超えた後"を題材にしているので、いわゆる解釈違いが起きにくい。高校生や大学生時代を描いてしまうと解釈違い大量発生しそう。

 

ちーと"気になるアイツ"(名前出てないよな……)の話がもっと増えてほしい感はある。というのも他の人のレビューでも見かけたが、"家庭の暖かい話"がのんびりと続くだけなので話の進展というのが見受けられない。ただただ似たような雰囲気の日常回が続いてしまっている。サザエさんなんだよね。

アニメはもちろん原作も、似たような日常の話をからめつつ二人の間が確かに進展していることをちょいちょいぶっこんで来ることで「続きがみたい!」と思わせてくれていた。本作はちーと気になるアイツの関係性にしかそれがない。

 

これからの期待

ちーの中学時代編が進展するのか?というのが一つ。ちーは幼稚園児から小学校に上がったりするのか?というのが一つ。小学校に"アイツ"が居なさそうなのでそれはないかも。ただ、娘の成長という点について西片が高木さんがどう対応していくかが結構楽しみなので、ちーが成長した姿を見せるというのもありだと思う。